学会長メッセージ

自由闊達に活躍できるプラットフォームづくりを目指して星野先生メッセージ用

 

2016年4月9日の第1回理事会において第18期の会長を拝命いたしました。誠に非力ではございますが,本学会の発展に尽くしてまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。

学会に限らず,組織の長にはリーダーシップが求められます。私は「調整型」のリーダーとして学会運営に臨みたいと思います。調整型リーダーとは,分野や立場の異なる人同士を対等に結びつけて新たな価値を生み出すリーダーシップのスタイルのことであり、その役割は,多様な人材を結び、協働を促し、高い相乗効果を生み出すことにあります。人と人とを結びつけ、新たな価値を生み出すという展開方向を敷衍すると、プラットフォームというキーワードにたどり着きます。様々な分野そして立場のメンバーから構成される本学会の特徴を踏まえると、多様な学会員をつなぐ「場」としての役割、学会員一人ひとりが力を存分に発揮できる「場」としての役割が特に重要であるように思います。そして,会員にとって使い勝手のいいプラットフォームを提供することを通じて、社会における学会全体のプレゼンスを高めることを目指したいと思います。

農村計画学会が,多様な会員が自由闊達に活躍できるプラットフォームとして機能するために3つの壁(課題)に挑戦したいと考えています。

1つ目は,分野の壁です。学会が設立されて約10年が経過した1993年の学会誌に「21世紀の農村計画と農村計画学会」という若手研究者の座談会の記録がでています(Vol. 11, No. 4)。この中で,今期の副会長糸長浩司先生は,「そろそろ「どこから出てきた」という(旧来の専門)分野ではなく,「農村計画プロパー」としての世代を育てる時期にきているのではないか」という指摘をされました。それから20数年が経過し、異なる分野の研究者間での知識共有は進みましたが,現在も軸足をそれぞれの分野においた会員の方が多数派であり,農村計画学会が第1番目の学会として選択される状況には至っていません。農村計画学会が強い求心力を獲得するためには、知識(=概念)の共有を超える,もう一段深いレベルでの学融合が求められています。

2つ目は、国際化の壁です。国際化という観点から農村計画学会をみると,全体的には遅れているように感じます。これは,農村計画学が農村地域の課題解決のための実践的な科学であり、社会経済的要因や制度的要因に規定された「社会技術」であることに起因しているためであると推察されます。しかし、近年、農村計画学の分野で、サステイナビリティや生態系サービスなど、グローバルなコンセプトが注目されるようになってきました。また,農村計画学でこれまで国際化が遅れていたと言うことは、逆にそこに大きな未踏の原野,つまりフロンティアが広がっているという見方もできます。社会技術であるという特性を前提としつつ、国際交流をいっそう拡大し、これまでのローカルな計画学から比較農村計画学への展開を期待せざるをえません。

3つ目は,世代交代の壁です。組織の持続性は世代交代を如何にスムーズに行うかにかかっています。それは学会組織でも同じです。設立当時のメンバーを第1世代とすると、我々の世代(50歳代)は、第1世代のもとで学んだ第2世代となります。さらに第3世代につないでいくことは、現執行部の責務です。今期の理事・評議員のメンバーには,多くの若手の方にご参加いただいています。若手の皆さんには、農村計画学会というプラットフォームで思う存分ご活躍いただき、10年後に農村計画学会を支える中核メンバーとしてキャリアを積んでいただくことを期待しております。

このような学会運営をうまく成功させるためには,会員の皆さまの学会活動への理解と参画が不可欠であります。今後とも厚いご支援を本学会に賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 

星野 敏